はじめに
アークナイツはイベントごと,または主要なキャラクターに合わせてイメージソングが作られる.
どれもハイクオリティで楽曲の公開を楽しみにしているプレイヤーも少なくないだろう.
さて,今回和訳に挑戦した『All hail Savior!』は百錬ガヴィルをイメージした曲となっている.
勇士よ、救世主の讃歌を高らかに叫べ!
恐怖と迷いを捨てて、私たちは犠牲の前にすべてを守り抜く。
彼女を信じるのだ!彼女は絶対に君を見捨てはしない。
https://youtu.be/FQVgDEsoi50
動画詳細より
※本和訳記事は,公式が発表しているガイドラインに基づき作成しております.不備等がございましたらお手数ですがお問合せページからご連絡をお願いいたします.
楽曲情報
作詞:Obadiah Brown-Beach
作曲:Obadiah Brown-Beach
歌:Adrienne Cowan
リリース(日本):2023/1/24
登場作品:アークナイツ(Hypergryph · Yostar スマートフォン向けゲーム)
ちなみに
作詞作曲を行ったObadiah Brown-Beachさんは他にもアークナイツの関連曲の製作に携わっている.アークナイツ内のEPで見ると作詞までやっているのは珍しいっぽい.
アークナイツには関係ないが,本人はおひげの似合うナイスガイである.
以下に彼が作詞または作曲に携わった楽曲の一部を載せておく.
- 『ALIVE』
AUS曲の一つ.言わずもがなのかっこよさ. - 『Field in the Light』
レッドパイン騎士団のEP.さわやか. - 『Requiem』
エレーナ(とボジョカスティ?)のEP.こういう曲もいけちゃうんですね!!
歌詞(和訳)
以下の和訳はサイト筆者が書いたものであり,公式からの情報ではないことにご注意ください.
Yeah! Yeah! Yeah!
Do you remember, back then The days of “might is right”
The days of “thick or thin” The simplest of times
Those days are far behind us
All we know now is pain
But I’ll defend us til the end of our days
覚えてるか? 「力こそが正義」だった日々を
「勝つか負けるか」だけのシンプルなあの日々を
そんな日々はとうに過ぎ去って
今残ったもんは痛みだけだ
それでも最後まで守り切ってやるんだ
(Might! Is! Right!) ‘Til we crystallise (Sacrifice!)
Let me save one more life
(力こそが正義!!!)鉱石病がアタシらを殺し尽くすまで(全部差し出して!)
一人でも多く救わせてくれよ
Trust in me, I will never let you fall! (No, woah)
Stand with me, and we will save them all!
Woah, we’ll save them all!
信じろって,失望はさせないからよ!(絶対に)
一緒に立ち上がって,みんな救ってやろうぜ
さぁ,みんな救うんだ!
(Mahuizzotia) [x2]
Abandoned by my tribesmen
Won their respect back in a brawl
Old friends turned into rivals
But I showed them all
At the heart of dust and haze, you’ll find me
Catastrophic darkened days define me
A soldier kills to save a life
A doctor fights for the crystallised
But I know that we’re one and the same
We’re just a sacrifice, sacrifice
部族に見放されたって
喧嘩に勝てば尊敬だって取り戻せた
昔っからのダチがライバルになったって
アタシは証明してやった
お前なら見つけてくれるだろ,何処にいたって
こんなアタシだってよ
戦士は救うために殺しをする
医者は鉱石病と闘う
でも結局それっておんなじことだったんだな
生きるためにただ進むだけだ
With me, don’t hesitate to go and give your all
Leave all fear of pain and death behind
ビビんなって全力でいこうぜ アタシが一緒だ
痛みも死も もう何も怖くはないんだ
Trust in me, I will never let you fall! (No, woah)
Stand with me, and we will save them all!
Woah, we’ll save them all!
信じろって,失望はさせないからよ!(絶対に)
一緒に立ち上がって,みんな救ってやろうぜ
さぁ,みんな救うんだ!
(Mahuizzotia) (Mahuizzo)
(Mahuizzotia) [x2]
Trust in me, I will never let you fall
信じてくれ,期待は裏切らないからよ
Oh trust me, I will never let you fall! (Oh woah)
Stand with me, and we will save them all!
Woah, we’ll save them all! (Save them all!
信じろって,失望はさせないからよ!
一緒に立ち上がって,みんな救ってやろうぜ
さぁ,みんな救うんだ!(ほらやるぞ!)
考察的なもの
曲の意味
ガヴィルの強さを感じられる一曲.救うためには医者にだって戦士にだってなる.
ガヴィルの正しさが垣間見えると思う.
また,ところどころ鉱石病について触れている部分もある.ガヴィルは医者だから当然ではあるが,一方で彼女が内で抱えている病の恐怖への表れでもないだろうか.
さて,曲中の単語や歌詞について考えてみる.
ガヴィルのいた部族とマヒゾッティア(Mahuizzotia)
ガヴィルはサルゴンのジャングルの奥地(アカフラ)の部族出身である.そこではケンカで物事を決めるというワイルドな文化が出来上がっている.
曲の冒頭で触れられていた過去の日々も全てがヴィルが部族に身を置いていた時だろう.
また歌詞中のMahuizzotiaは,部族内で族長を決めるときの祭典の名称である.
決め方は当然,殴り合いである.
ガヴィルのバックボーンについては,今回のイベント『理想都市 -エンドレスカーニバル-』よりもサイドストーリー『帰還!密林の長』を読むともっと知れるだろう.
ガヴィルの正しさ
今回のイベント『理想都市 -エンドレスカーニバル-』でズゥママはガヴィルをこう評価している.
ガヴィル、お前は正しさを間違えたことがないんだ。
サイドストーリー『理想都市 -エンドレスカーニバル-』より
私はこの正しさというのは,善悪という意味の正しさではなく,「方法」を間違えないことだと捉えている.
「善悪の正しさ」は全ての人に分かってもらえることはない.それこそロドスの活動というのは,同じ感染者からであっても理解されない場合があるようにだ.その人の持つ背景や置かれている状況によってどうしても揺らいでしまうのだろう.
一方で「方法の正しさ」というのは,結果論に過ぎず時や場合で変わるだろうが,ある程度は一意に決まるものだろう.
例えば,今回なら自身の内に籠ろうとしたスディチ君の説得.
もしくは,ドゥリンの地上行きを邪魔しないという決断をしたパゼオンカ.
どこに目的を置くかでも変わるが,その目的へ最短の道というのがあるはずだ.
今回の歌で考えてみると,ガヴィルが病と闘う方法のこととも捉えられそう.
人々を守るため,ロドス加入当初は医者として活躍してきたガヴィル.
一方今回は大斧を手に取り,拳を振って,まさに前衛として活躍している.
A soldier kills to save a life
A doctor fights for the crystallised
But I know that we’re one and the same
歌詞でもこのように歌われているように,どちらも結局は同じ事なのだ.
鉱石病に苦しむ人々を救う方法として,医者であることも戦士であることも正しい.
ガヴィルは方法に捕らわれることなく,正しいやり方を判断できる聡明さがある.
ガヴィルと鉱石病
曲中に鉱石病に触れる部分が多いのが私は気になった.
例えば以下曲の冒頭の部分.
‘Til we crystallise
ガヴィルは戦士としても生きているのに,ここではなぜか病で倒れることに触れている.
医者としての面もあるので,病が近い話題だったからとも考えられるがちょっと気になる.
ここでガヴィルの病の進行具合をみてみると,
源石融合率:15→15.3%
血液中源石密度:0.26→0.27μ/L
まぁ元々がひどい方なので何とも言えないが進行は遅そう.
一方でガヴィル⇒百錬ガヴィルのイラストを比較すると,なかったはずの左脇腹の源石が出来ていることが分かる.
このように体の表面に異常が起きると,数値上に分かる進行度合いよりも「自分が病気である」ということが生々しく分かってしまいそうである.それはいくらガヴィルであっても例外ではないだろう.
まぁこの源石の周りにガヴィルはタトゥーを入れている(現実にも傷の上や周辺にタトゥーを入れて隠す,ファッション化する方法がある)ので,あまり気にしていないのかもしれない.
というわけで色々書いたが,考えられるのは結局この2つになる.
- ガヴィルさんは強いので鉱石病なんかに負けるわけがありません!
自分が病気であると分かったうえでも,気にせず今を生きる.実にガヴィルらしいまっすぐさがある.
歌詞中に「鉱石病」に触れている部分が多いことについては,作詞作曲のObadiah Brown-Beachさんがアークナイツによく関わっているので,世界観をただ表したかっただけとも捉えられる. - 実はガヴィルも着々と進んでいる病気を恐れている
人前では気丈にふるまうガヴィルも裏では病魔を恐れているのかもしれない.タトゥーを入れたのもその恐れを払しょくしたいが故とも考えられる.スディチ君を説得する際に,「仲間や自分の鉱石病を治すために~」みたいに言っていたので,全く病を気にしていないということないだろう.
ちなみに歌詞まで絡めて考えると,ガヴィルは鉱石病自体ではなく,それによって自分が人を助けられなくなることを恐れていると思われる.
個人的には2.の説を推したい.二面性があった方が面白いというだけなのだが.
和訳について
今回は5つの点が和訳ポイントとなった.
thick or thin
イディオムですね.意味は「いい時も悪い時も,どんな時だって」.みたいな意味.
調べると語源的なモノも出てくる.狩猟の際の茂みの厚さを言っているみたい.
茂みが厚いと歩きにくく,薄ければスイスイ歩ける.その様が意味になったようだ.
Those days are far behind us
直訳は「あの日々は私たちの遠く後ろにある」.
時間は前に進み続けるので,遠く後ろにあるということは「過去の日々」になったというわけだ.
‘Til we crystallise
ポイントは”crystalise”の部分.意味としては「結晶化する」,「解明する」などがある.
「最終的に鉱石病の謎を解き明かし,治療法を確立するまで」とも言えなくはないが,そうすると残りの歌詞と合わなくなってしまう.
Trust in me
これ単純に見えてかなり難しい.実は一番時間がかかったかも.
皆さんがよく聞くのはどちらかというと”Trust me”ではないだろうか.日本語にしてしまえば「私を信じて」という同じ意味になる.だが書き方に違いがあるということは意味も若干違うのだ.
We’re just a sacrifice, sacrifice
「私たちはただの贄に過ぎない」みたいな意味だが,何に対しての贄なのか.
私は「テラという大地で生きる」ことへの贄だと思った.贄というと分かりにくいなら言い換えると,「生きるために必要なこと」だろうか.
ガヴィルにとって鉱石病とそれによって生じる問題を解決する方法が,戦うこと,医療を用いることである.テラに蔓延する鉱石病を何とかしようという行為自体が,テラで生きることとも言えよう.
それが”just”がかかるので今回の訳のようになるのだろう.
At the heart of dust and haze
直訳は「霧や霞の中心にいても」.霧や霞の中では視界が悪くなる.
その中心にいるということは,手探りに近い状態なのだろう.そこでも見つけてくれると信じているところから,それだけ信頼関係があるといえる.
この後の”you”については誰かは分からないのだが(ズゥママかトミミ,もしくはドクター?).
編集後記的なもの
今回はアークナイツ 百錬ガヴィルのイメージソング『All hail Savior!』を和訳してガヴィルの強さと弱さの両方に触れてみた.
ガヴィルのキャラクター故に,逆に裏がないかと勘ぐってしまったかも.
曲自体は力強くてワイルドさ◎だが,皆さんは歌詞まで見たときにどう思っただろうか?
その他アークナイツ関連の記事はこちら.
ぜひお気に入りの一曲を探してみてほしい(記事が無かったらご連絡ください!作ります!).
このサイトの和訳記事では,和訳の正確さと読者の考える余地に重きを置いています.
読者が正確に楽曲を捉え,理解を深めてもらえるよう,和訳にミスがあればぜひご連絡いただければ幸いです.
お読みいただきありがとうございました!
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