ホーム » アークナイツ » 【アークナイツ】 『Awaken』 を和訳して海へ行こう

【アークナイツ】 『Awaken』 を和訳して海へ行こう

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 「ベル ロック灯台」 (1819) アークナイツ
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 「ベル ロック灯台」 (1819)

はじめに

アークナイツはイベントごと,または主要なキャラクターに合わせてイメージソング作られる.
どれもハイクオリティで楽曲の公開を楽しみにしているプレイヤーも少なくないだろう.

さて,今回和訳に挑戦した「Awaken」(目覚め)は帰溟スペクターをイメージした楽曲である.

彼女は暗礁を抱く、潮汐のように。

「Awaken」――海の底で囁く夢は、まだ眠っているの?

https://youtu.be/pxNzi8JKbfI
動画詳細より

※本和訳記事は,公式が発表しているガイドラインに基づき作成しております.不備等がございましたらお手数ですがお問合せページからご連絡をお願いいたします.

楽曲情報

作詞:Adam Gubman
作曲:Adam Gubman
歌:Holly Sedillos
リリース(日本):2022/11/11
登場作品:アークナイツ(Hypergryph · Yostar スマートフォン向けゲーム)

歌詞(和訳)

以下の和訳はサイト筆者が書いたものであり,公式からの情報ではないことにご注意ください.

Open oceans, crushing waters
Deep regrets of mothers daughters
Open rifts, to cast adrift a
Ghost ship sinking
abyssal dreaming
To sleep, to fall on a safe shore….

大海原,波立つ水面
血族たちの痛恨
自由のため,裂け目を開く
沈みゆく幽霊船
深淵なる夢幻
夢を結ぶため,安らげる地へ辿り着くため……

Holding a paper wall
building a damn, they are flooding the circuits
to find who I am
Make a list, write it down, in time

紙一重で耐えているの
苛立ちが募るわ,彼らは取り囲む
私が誰であるのかを知るために
今のうちに書き留めておくと良いわ

Sometimes we need it all, sometimes, resign
To a world where the center is never a line
Make a move, take it back, it’s mine

気まぐれに全てを欲し,諦める
不完全なこの世界のために
動け,取り戻せ,それは私のもの

Gather raindrops
I’m filling the ocean up
Take every part of me
(Take it all and…)
Fit it together
I’m building a boat
Cheers as the horns resound
Echos of those who drown
Carry myself, let me
Dream of deep stay asleep…

雨粒を集めて
海を満たそう
私の全部を受け入れて
(全部奪って,そして……)
一緒に
舟を作りましょう
汽笛が響く中歓声が上がる
溺れた者たちの嘆き
お行儀よくできるわ,私にやらせて
夢はいまだ覚めることない……

Find the break
water, warm
Keep it calm
Be afraid to rattle the cage Take a risk
Take a dive
Take it down
suddenly surrender, take back everything

安らぎと
水とぬくもりを見つけ出す
平静なままで
誰かの思い通りは嫌なの 危険を冒して
弱者を演じ
身を投じて
終わりは突然に,さぁ全てを取り返しましょう

From the open shore
I will learn to fly
Soaring past the great divide
Voices that surface seem to call out all the lies
Is it still a sin
If I let them in
As they sail to calmer tides
I’ll awaken what’s asleep inside

大海から
私は飛び方を覚えた
深い溝すら超えて飛び立つの
紡ぎ出す声はうわべばかり
未だ罪のままなの?
それらを受け入れようとも
穏やかな潮の流れへ漕ぎ出したなら
私は内なる眠りから目を覚ますの

Take a breath, through the salt and the fog
It’s gone, it’s gone, by the daylight, ahhh
Take a page from a lost sailor’s song
Gather pebbles
I’m filling the ocean…

塩と霧の中で一息ついて
夜明けの光の共に あぁ,だんだんと消えていってしまう
今はなき船歌に倣って
小石を集めて
海を満たすの……

Oh, just a memory
Lost, in extacy
Sights and sounds are Forgotten and clear
Ships bells, golden rings
Fantasy breaking me

あぁ ただの記憶に過ぎないの
恍惚の中で失っていく
見たものも聴いたものも綺麗に忘れてしまった
船の鐘,黄金の指輪
幻想が私を狂わせたの

From the open shore
I will learn to fly
Soaring past the great divide
Voices that surface seem to call out all the lies
Is it still a sin
If I let them in
As they sail to calmer tides
I’ll awaken what’s asleep inside

大海から
私は飛び方を覚えた
深い溝すら超えて飛び立つの
紡ぎ出す声はうわべばかり
未だ罪のままなの?
それらを受け入れようとも
穏やかな潮の流れへ漕ぎ出したなら
私は内なる眠りから目を覚ますの

From the open shore
I have learned to fly
Soaring past the great divide
Voices that surface seem to call out all the lies
There’s a hidden door on the ocean floor
Do these dreams belong to me?
If it calls my name, am I awakening?

大海から
私は飛び方を覚えた
深い溝すら超えて飛び立つの
紡ぎ出す声はうわべばかり
海底には秘密の扉が
この夢は私のもの?
呼ばれたら,夢も覚めるの?

考察的なもの

曲の意味

「スペクター」と「ローレンティーナ」の間で揺れ動いたスペクターをイメージの感情が伝わる一曲……

と言いたいし実際そうだが如何せん難しいので私なりの解釈を以下にまとめた. 

海を満たすとは
歌中では雨粒と小石で海を満たそうと言っている.場面自体は想像できるが,つまりどういうことなのだろうか?私が思ったのは以下の意味.

  1. 不可能なことを成そうとすることのたとえ
  2. 自分を形成することのたとえ

1.の場合,海を雨粒やら小石やらで作るのは到底不可能だと思われる.もちろん,テラの世界で,エーギルの技術力をもってしても.つまりは,不可能を可能にすることをかっこよく言っていると捉えることができる.

2.の場合,エーギルや深海生物は海に由来を持っている.自分を形成していくことをテラリウムでも作っていくかのように,海を満たすと表現することもあるかもしれない.

サビの意味
飛ぶこと,これについては彫刻家ローレンティーナとして芸術を表現することであったり,ハンター ローレンティーナ(スペクター)として戦うことを表していることであったりすると思う.

「うわべばかりの声」はスペクターの時の自身を振り返ってだろう.

“Is it still a sin”でまだ罪のままなのか(=許されないのか)を問うている.この部分は,まだスペクターの人格のままである⇒ローレンティーナに戻れない⇒スペクターとして過ごすことは自分なりの贖罪 とでも捉えているのだろうか.

面白いのは,仮に「スペクターとして過ごすことを贖罪と捉えている」と考えても,ローレンティーナはそれを楽しんですらいたし,受け入れていたことである.なんかそれだと贖罪とも違う気もしてくるけどうぅん……

「穏やかな潮の流れへ漕ぎ出す」これは順調に物事が進みだすことをたとえていると思うと後の歌詞とも納得がいく.

海底に隠された扉とは
 こちらも意味としては2つあり得るかなと思う.

  1. 自分自身の奥深くに隠された感情の扉
  2. 本当に深海にある何か

1.はスペクターの中のローレンティーナのことではないかと思う.意識の奥底を海の底と捉え,そこにローレンティーナとしての人格がある様を表している可能性がある.

2.はエーギルへの入り口(実際に扉のような形ではないにしても)かもしれない説である.夢の切れ間に故郷を思い出しているのかもしれない.
私としては1.の方がすっきり入ってくるような気もするが……
公式で楽曲の解説ブックなり放送しませんかね!?

和訳について

今回は和訳にかなり手こずった.英語のイディオムを調べるのが大変だったという意味でも,意訳をどうしようか迷ったという意味でも.
今回は「イディオム頑張ったパート」と「意訳頑張ったパート」に分けて解説する.

イディオム

今までの記事に書いたことはなかったが,私の和訳でイディオムが~と出たら,基本的にはDictionary, Encyclopedia and Thesaurus – The Free Dictionaryを元に調べている.

こちらのサイトで調べた英語で書かれた意味をもう一度日本語にしてここに落とし込んでいる感じだ.

carry myself

意味:社会的に、あるいは人前で行動すること

つまりは人前での身のこなし,エチケットとかを表すっぽい.自分自身を運ぶ→自分を律すると捉えるとよさそう.今回はお行儀よいという日本語で訳した.

rattle the cage

意味:意図的に人を怒らせる,動揺させる,不安にさせる

例文を見た感じは挑発することとかを指すような言葉だった.今回はスペクターの過去から意味を解釈し直して「思い通りにさせる」と訳した.

Take a dive

意味:意図的に負けたりけがを負う(ふりをする)

八百長試合で負けることややわざと相手選手のペナルティを狙ってケガをしたふりをしたりすることを言うらしい.「ローレンティーナ」が「スペクター」を演じていることを指すのではと考えた.

Take a page from

意味:前の人に倣って真似をする

これはイディオムの意味でそのまま訳している.

意訳

To sleep

直訳:眠るために

調べていたら眠ること,そして夢を見ることを「夢を結ぶ」と表現するということを初めて知った.初めて知ったかっこいい言葉をすぐに使いたくなるのは当然の心理であり,私も例に漏れずにという訳だ.

mothers daughters

直訳:母たち 娘たち

直訳を見たとき,あぁ家族のことを指すのかなと思った.しかしアビサルの面々的には「血族」と訳してあげるのが良いでしょう.

Holding a paper wall

直訳:紙の壁を保つ

紙の壁,つまりはそれだけ脆い壁なのだろう.それを保つというのならかなり難しくギリギリの作業になるので,「紙一重で耐える」と訳した.paperと紙でそのまんまなんですけど,作詞が日本人じゃないからまさか関係はないよね……

building a damn

直訳:くそを作り上げる

汚い言葉でごめんなさい.buildでだんだんとできあがっていくイメージを感じた.damnでくそ!などよくない意味になるので,「だんだんイヤになってくる」⇒「苛立ちが募る」と訳した.

a world where the center is never a line

直訳:中心が線となることはない世界

本当に意味が分かりませんね.普段使っている翻訳ソフトに入れたら「にっちもさっちもいかない世界」と出てきてびっくりした.
とまぁ,lineは「列,並び」も意味するので,「中心がきれいに並ぶことはない」⇒「不完全」という意味で解釈した.

ちなみに,”in line”で「調和する」という意味もあるらしい(英語「in line」の意味・使い方・読み方 | Weblio英和辞書).

horns resound

直訳:笛が響く

昔なら角笛,現代なら警笛なんかも指すことがあるらしい.ただ,歌詞的に急に笛が出てきて???である.海なので汽笛かなとも思ったが,日本語サイトでは汽笛には別の単語が……

しかしダメもとで「ship horn」で調べたら汽笛を鳴らす大型船の動画が出てきたので,「汽笛」と訳してもまぁ問題ないだろうと思うようにした.

Echos of those who drown

直訳:溺れた者たちのエコー

音響の講義を少し受けていて,なんかエコーと……みたいに似ている言葉があった記憶があった.

調べたら,「エコー」と「リバーブ」だったのだが,それぞれが「反響」と「反響,残響」と書いてあった.何が違うんですかと.これも違いを調べたら,「エコー」が複数跳ね返ったりして全体に響き渡るのが「残響」らしい.

つまりはエコー=反響した音でいいのだが,今回はスペクターの声に応えた溺れた人たちの声ということで「嘆き」とした.

Voices that surface seem to call out all the lies

直訳:表面は全て嘘を叫ぶかのような声

全てのウソを叫ぶ声⇒それは表面でのこと→うわべだけ と解釈した.

It’s gone, it’s gone

直訳:なくなった,なくなった

ある人のアドバイスで同じ英語が繰り返されるときは「その意味を強調している」「徐々にそうなっていくさま」のどちらであると私は思っている.今回の場合は後者の意味で約した.結構歌詞でリフレインしている部分多くて和訳困っちゃうよね(界隈)

Fantasy breaking me

直訳:幻想が私を壊す

壊れている状態⇒正しくない⇒くるっている と解釈した.自分で訳しておいてなんだが,”Fantasy make me mad”どう訳し分ければいいんだろう…….

編集後記的なもの

難しすぎて涙が出るかと思いましたね.キャラクターに合わせて難解さも変わる(ブレイズの曲とかは和訳一瞬過ぎて記事にしようかすら迷うレベルである)のはさすがアークナイツだと思う.

この曲の面白いのは,難解な表現が多く,結構丁寧な感じの人物像をイメージしそうになるが,所々汚い単語もあることだ.華麗さと凶暴さを兼ね備えたローレンティーナらしい.

その他アークナイツ関連の記事はこちら
ぜひお気に入りの一曲を探してみてほしい(記事が無かったらご連絡ください!作ります!).

このサイトの和訳記事では,和訳の正確さ」と「読者の考える余地に重きを置いています.
読者が正確に楽曲を捉え,理解を深めてもらえるよう,和訳にミスがあればぜひご連絡いただければ幸いです.

お読みいただきありがとうございました!

コメント

タイトルとURLをコピーしました