はじめに
アークナイツはイベントごと、または主要なキャラクターに合わせてイメージソングが作られる。
どれもハイクオリティで楽曲の公開を楽しみにしているプレイヤーも少なくないだろう。
さて、今回和訳に挑戦した『(Believed Believes) Believing』は、今まで脇役として、しかし確かに存在感を出していたロドス所属のエリートオペレーターたちの曲になっている。
あまり知らない彼らのことを、曲から少しでも理解できるとよいなと思い和訳をまとめてみた。
https://www.youtube.com/watch?v=3b5ctXfSfN8
動画詳細より
公式YoutubeのEPでは、3名のエリートオペレーター(左から順にTouch、Sharp、Stormeye)が描かれている。
※本和訳記事は、公式が発表しているガイドラインに基づき作成しております。不備等がございましたらお手数ですがお問合せページからご連絡をお願いいたします。
楽曲情報
作詞:David Lin
作曲:Erik Castro
歌:Sophie Gold
リリース(日本):2024/07/01
登場作品:アークナイツ(Hypergryph · Yostar スマートフォン向けゲーム)
歌詞(和訳)
以下の和訳はサイト筆者が書いたものであり、公式からの情報ではないことにご注意ください。
I’ve been a nomad
Seen most of the whole map
Got used to drifting on my own
Laid down my own path
But I’ve always known that
I can’t go at it all alone
放浪者だった
あちこちを見て回った
一人さすらうことに慣れた
道は自分で決められた[1]
でもずっと気付いてはいたんだ
独りじゃ何もできやしないってこと
When the fight in me gets buried
And my own backbone forgets me
You would choose to still defend me
And lend me the strength we need
闘志を忘れ去り
自分を見失いそうになったとき[2]
それでも貴方は私を守ることを選び
力を貸してくれる
We made it through catastrophes
Through calamities
You are all we need
[x2]
You’re the cavalry
私たちは天災[3]を
悲劇を乗り越えてきた
貴方こそが必要なの
貴方は騎兵隊[4]
You make it easy
To keep on believing
You’ll stick with us through thick and thin, oh
You’ve been the reason
We’ve all kept on dreaming
Like we couldn’t ever be eclipsed
貴方のことなら
信じ続けてみられる
どんなときにも寄り添ってくれる
貴方は理由になってくれた
私たちは夢を追い続ける
決して闇に負けぬように[5]
When the fight in me gets buried
And my own backbone forgets me
You would choose to still defend me
And lend me the strength we need
闘志を忘れ去り
自分を見失いそうになったとき
それでも貴方は私を守ることを選び
力を貸してくれる
We made it through catastrophes
Through calamities
You are all we need (All we need)
We made it through catastrophes
Through calamities
You are all we need
You’re the cavalry
私たちは天災を
悲劇を乗り越えてきた
貴方だけが必要なの
私たちは天災を
悲劇を乗り越えてきた
貴方こそが必要なの
貴方は騎兵隊
The storms we’re facing
The wars we’re waging
They don’t faze me
‘Cause we made it through catastrophes
Through calamities
You are all we need
You’re the cavalry
直面する嵐
繰り広げられる争い
躊躇なんてしやしない
だって惨劇を
悲しみを乗り越えてきたいのだから
貴方こそが必要なの
貴方は騎兵隊
Ooh, when I’m in too deep
Ooh, and I’m out at sea
You, you would rescue me
You, say we’ll get through this
Together (we’ll get through this)
Together
抜け出せない深みにはまり
海の底にいるとき
貴方が救ってくれる
私たちなら乗り越えられると言って
一緒なら(きっと乗り越えられる)
一緒なら
We made it through catastrophes
Through calamities
You are all we need
[x2]
You’re the cavalry
私たちは天災を
悲劇を乗り越えてきた
貴方こそが必要なの
貴方は騎兵隊
The storms we’re facing
The wars we’re waging
They don’t faze me
‘Cause we made it through catastrophes
Through calamities
You are all we need
You’re the cavalry
直面する嵐
繰り広げられる争い
躊躇なんてしやしない
だって惨劇を
悲しみを乗り越えてきたいのだから
貴方こそが必要なの
貴方は騎兵隊
曲の意味
誰目線なのか
歌詞の内容から以下のように予想することができる。
I, We :冒頭に述べたように、エリートオペレーターの面々
You:ドクター
意味的にもこの解釈でほぼ間違いはなく読み取れるものとなっているが、深堀りしてもう少し考えてみたい。
エリートオペレーターたちの過去
エリートオペレーターの面々はストーリーに顔を出す機会が少ない分、そのキャラクター性も不明な部分が多い。
今回は、そんな中でも公式情報で確かになっている、経歴を元に考えてみたい。
アプリ内のプロファイルより、ざっくりまとめてみた。
ピス(Pith)
経歴
・ガリアの将校の家系に生まれる
・ヴィクトリア軍に入隊
・任務中、鉱石病に感染し軍から追放される(家族からも離縁される)
・サルカズ傭兵の仲間の勧めでバベルに加入
・バベル崩壊後も残り、そのままロドスアイランド設立時にメンバーとなる
理念
故郷を追われたサルカズに対して、同情していたところ、自身も感染者になってしまう。その際に、感染者差別に対して、怒りや悲しみを抱く。
感染者差別をするヴィクトリアへの復讐心に突き動かされていたが、バベル加入後テレジアに家族のように接せられ、偏った考えが消えていった。
その後、『全テラの人々が一つに団結してこそ、鉱石病の問題が解決される』と考えるようになり、今に至る。
シャープ(Sharp)
経歴
・傭兵一家に生まれる
・パーティを転々としつつ傭兵として戦う
・サルゴンで20年以上戦い、その間に感染者となる
・傭兵稼業から足を洗い、最終的にロドスへ加入する
理念
何かしらの信念のある戦いをしたいと望んでいた。だが、傭兵時代は彼の期待を裏切るように口だけの雇い主が多かった。そんな経験から、ロドスに加入後も報酬以上のことはしない、ドライな態度を見せていた。
しかし、ロドスが行動によって理念を実現すべく動いていることを示したことで変わっていく。今ではすっかり打ち解けて、エリートオペレーターとなっている。
ストームアイ(Stormeye)
経歴
・カズデルの一般的な家庭に生まれる
・内戦(テレジス率いる軍事委員会とバベルとの戦い)ぼっ発により、サルカズを離れる
・詳細不明だが、このときに既に感染していた模様(生存環境による影響?)
・テラ各地を放浪しつつ、自身の所属する集団、組織を武力でもって守っていた
・設立間もないロドスと対峙するが、和平交渉とストームアイ加入により事なきを得る
理念
内戦の中で困惑と失望を感じていた。感染者はほかの人と同じように生きていくべきだと思いながら戦っていた。
そんな中、彼のこの理念を同じくしたロドスは彼にとってパートナーとなった。
タッチ(Touch)
経歴
・リターニアの伝統的な術師の家系に生まれる
・しばらくは植物学の研究者として過ごす
・スランプに陥り過剰な源石溶液を用いた実験を行い感染
・それにより高塔に入る資格(お抱え術師としての地位)を失う
・失意の中、クルビアの研究に興味を持ち、クルビアにて鉱石病研究を専攻する(ケルシーに出会う)
・バベル設立後、ケルシーに誘われるが政治紛争には関与したくないと拒否
・ロドス設立後、再度勧誘を受け、その際にはロドスの理念に共感して加入
戦闘経験について、プロファイルには20年との記載があるが、テレジア死亡の1094年にすぐロドス設立と加入をした場合、現在分かっている1102年までで考えると18年なので少し合わない。
※Wikiから参照しました
ロドス加入前に何らかの戦闘経験があったのか、またはプロファイルが作成された日付がもう少し先の未来なのかもしれないが詳細は不明。
理念
理念についての追及が少なかった。少なくともロドスの考え方には賛同している様子。
バベルはカズデルの後継者争いの面が強かったため、リターニア人の彼女にはあまり関心のない内容だったのだろう。
一方でロドスは感染者のための組織であるため、彼女にも関係があるため加入に至ったものと考えられる。
そういう意味では、自身も差別は受けていた身とはいえ、他のメンバーとは異なり確固たる賛同というよりは、まぁ良いこと言ってるよねくらいの気持ちかもしれない。
政に関心のないところなどから、ある意味では研究者らしい一面も感じさせる。
過去を踏まえての考察
こう見ると、加入の経緯や感が方などはそれぞれ異なることがうかがえる。
ここで改めて歌詞の”You”が何を示すのかを考え直してみたい。
“You”がドクターを示すことはほぼ間違いないとは思う。ロドスでの戦闘経験も長く、その間に信頼関係を気付いていただろうことは確実だ。
一方で”You”をロドスアイランドという居場所や理念として考えてもよいと思う。
プロファイルから、それぞれがロドスの理念に共感していることは分かる。
また、過酷な過去があったからこそ、今のロドスが彼らにとってかけがえのない居場所になっているのだろう。
歌詞中の「夢を追い続ける理由になってくれた」からも、ドクターという一個人に対する思いというよりは、理念などの実在しないものに対する思いのように感じられた。
とはいえ、長い間ロドスを指揮していたドクターはもはやロドスアイランドそのものを象徴するものでもあるので、そういう意味では変わりないのかもしれない。
和訳について
今回は以下の4点がポイント。
[1] Laid down my own path
“lay down ~”で「~の上に横たわる」なので直訳だと、「私自身の道の上に横たわる」になる。
これだとちょっと分かりにくいが、ほかにも「~を策定する」、「~の基礎を築く」みたいな使い方もある。
以上より、横たわらせることで安定させる、定めるみたいなニュアンスがあるように感じられる。
[2] And my own backbone forgets me
“backbone”は背骨や中枢を意味する名詞だ。それが”me”=私を忘れるということなので、自身を見失うようなイメージだろうと思った。
[3] We made it through catastrophes
ここは単語の扱いについてちょっと悩んだ。”catastrophes”はそのまま訳すと災害とかになる。…のだがドクターの皆さんがご存知の通り、「天災」という用語がこのゲームにはある。
訳す際に、この天災を使ってよいか迷ったのだが、英語版ではCatastrophesを天災と訳していた!というわけで、ストーリーに寄せるという意味でも天災と訳している。
文脈に応じて、元の通りの意味で訳している部分もある。
[4] You’re the cavalry
“cavalry”は和訳にある通り、「騎兵隊」を意味するのだが、急に出てくるとなんじゃこりゃとなるだろう。
英語圏のサイトも含め調べてみたいが、明確にこれと書いているサイトが見つからなかった。
以下のリンクは情報共有サイトQuoraで海外の方が質問/回答しているものである。
What’s the meaning of “It’s like calling in the cavalry”? | Quora
ここでの回答をまとめると、「迅速に、強力に問題を解決するさま、手段」の例えとして騎兵隊が用いられていることが分かる。機動力があり昔なら驚異的であっただろう騎兵隊をそう例えることはイメージしやすい。たしかにドクターの指揮能力は迅速だし、強力だ。
なので、今回の和訳では元の歌詞通り騎兵隊と訳してはいるが、意味としてはこのようなことがあると知っておいてもらえるとよいかもしれない。
[5] Like we couldn’t ever be eclipsed
“eclipse”は日食を意味する。そこから、「(才能などが)影に覆われる」や「失墜する」「打ちのめされる」みたいな意味としても使われているようだ。
編集後記的なもの
今回はアークナイツ エリートオペレーターたちのイメージソング『(Believed Believes) Believing』を和訳し、あまり知らない彼らの一面をのぞいてみた。
淡々として静かな人も多いが、うちに秘めたロドスへの思いなどが伝わる一曲になっていたように感じられる。
また、タイトルで脇役と書いてしまったが、ほんとは陰の立役者だと思っています!あの、文字数的にタイトルが長いとどうかなって思って…ごめんなさい!
ローグライクでしかプレイはできないが、好きな人も多いと思うので、ぜひ参考にしてみて欲しい。
その他アークナイツ関連の記事はこちら。
ぜひお気に入りの一曲を探してみてほしい(記事が無かったらご連絡ください!作ります!)。
このサイトの和訳記事では、「和訳の正確さ」と「読者の考える余地」に重きを置いています。
読者が正確に楽曲を捉え、理解を深めてもらえるよう、和訳にミスがあればぜひご連絡いただければ幸いです。
お読みいただきありがとうございました!